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学習機能について
あるのかないのかはっきりせず、またその内容について不確かながらも語られることの多い学習機能についてです。
エンジンにおける学習機能と、ハイブリッドにおける学習機能とをまず分けて考えて見たいと思います。
◆1.エンジンの学習機能
専門書をいろいろ紐解いてみたところ、これに関する記述が見つかりました(2件)。
※プリウス、THSに関しての記述ではなく、一般のガソリンエンジンの例です。
■説明の前に抑えておくこと・・・
プリウスのエンジン(1NZ-FXE)は、最近、一般に用いられている電子制御燃料噴射方式になっています。
この方式では、狙いの空燃比(A/F比)になるように、O2センサー、A/Fセンサーを用いて、空燃比フィードバック制御を行い、燃料噴射量を調節しています。
例えば・・・
ある燃料噴射量で燃焼した結果、O2センサー等で酸素過剰を検知すれば、空気量を抑制します。
酸素不足を検知すれば空気量を増加するように自動制御されます・・・。
(プリウス新型車解説書にも記述あり)
ドライバが調節したアクセル量に応じて、狙いの駆動力を設定し、それを満たすように、エンジン負担分を計算し、そのエンジン負担分を達成するように、スロットル制御、および、燃料噴射量の制御が行われるのですね。
■単純な空燃比フィードバック制御だけでは発生する問題
で、
問題は、それぞれのエンジン毎の部品のばらつき
です。
燃料噴射インジェクターや、スロットル系部品のばらつきによって、そのままでは狙いの空燃比にならないことがあります。
これに対しては、上記、空燃比フィードバック制御で補正するのですが、これ、フィードバックなので、スロットル開度が変更され、吸入空気量が変化すると、
補正の遅れ
が発生します。(過渡特性)
これの対策として、学習補正なるものが示されています。
■学習補正の処理内容・・・
まず、ある条件下で、空燃比フィードバックを行わない場合
(オープンループ時)の運転を行い、
そのエンジンがもつ空燃比のズレ量
を算出します。
この空燃比ズレ量から、補正量を算出します。
そしてこの補正量を、エンジンを切っても保存されるデータとして記憶します。(これがいわゆる学習値)
以降は、エンジンのばらつきからなる空燃比ズレ量が分かっているので、その補正量を含めて、空燃比フィードバックを行います。
空燃比ズレ量の補正量があらかじめわかっているので、スロットル開度の変化に対しても、遅れなく補正することができます。
まぁ、すごく複雑な制御を行っているわけではなく、
フィードバック制御を行わない場合のズレ量を保存されるデータ(学習値)として持つことで、フィードバック遅れを低減、スロットル操作時の過渡特性を改善
するだけなんですね。
で、このオープンループでの空燃比ズレ量の算出、および補正量の算出には、結構な時間がかかるそうです。
そのため、エンジン始動の毎回ではなく、あらかじめ”ある条件下”で実施しておいて、補正量を学習値として記憶しておくようです。
さて、ではその”ある条件”とは?・・・
これについては解説がありませんでした。
しかし一般に部品の組替え等が行われた後と一致する、【バッテリ端子の脱着後】がトリガではないかと思われます。
EPVさんのところの下記トピックを参照させていただきましたが、
バッテリ端子脱着後のアイドリングチェックに時間がかかるというのもオープンループで空燃比ズレ量を測っているためと思われ、上記の内容と一致するように思われます。
http://eshy.s22.xrea.com/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?cmd=ntr;tree=7463;id=epv1710#7463
もし空気量、燃料噴射量に関わるパーツ変更、チューニングを行ったら、学習補正を行うことがよいのでしょう。
(ただし効果は過渡特性においてのみ現れる)
で、それ以外であれば、再学習を行っても、特に大きな影響はないのではないかと思われます。
ちなみに、普通の車ではアクセルとスロットルは一定の関係をもっていますが、プリウスの場合、アクセル操作とエンジンスロットルの関係性はなく、THSがコントロールしています。
そのため、アクセル踏みこみ時に、必ずしも学習制御の効果を感じるわけでなく、その影響シーンはTHS制御に影響されます。
今回、参考にした文献:
@山海堂 電子制御ガソリン噴射
A山海堂 新・自動車用ガソリンエンジン
@の著者は、トヨタ系列の燃料噴射装置メーカー DENSOの人でした。
◆2.ハイブリッドシステムの学習機能
これについては、
・電子技術マニュアル(新型車解説書、修理書、ECUデータモニタ項目)
・なおゆきさんご紹介のアメリカのサービスマニュアル
・自動車技術会 論文
等を検索しましたが、該等する記述を見つけられませんでした。
特に、修理書、トラブルシューティング関連のTaSCANを用いた検査項目、作業内容にも記載がなく、
(通常、学習値をモニタできるしくみがあるような気がするのですが・・・)
学習機能があるのかなぁというのが私の率直な思いです。
私自身、上記のエンジン学習機能部分を除いて、学習機能があると確信する動作を経験していません。
★経験、数値等でハイブリッドの学習機能を示すようなデータはありますでしょうか?
▼ この記事へのコメント ▼
>経験、数値等でハイブリッドの学習機能を示すようなデータはありますでしょうか?
あります、あります。
ターゲットSOCの変動 と呼んでいるモノです。
ターゲットSOCとはどこで充電を止めるかの目標ポイント。
61〜66%と変動の範囲は大きいことが確認できています。
登坂路が続くと下がります。
下りでの充電の「シロ」を増やす目的があるのかも?
同じようにエンジンに負荷を与えつづけると下がります。
それにつれて燃調も変えているような気がします・・
さん、こんばんは。
ターゲットSOC、
新型車解説書の図にも概念が示され、またなおゆきさんご紹介の
アメリカサービスマニュアルにも、図が示されています
(TargetSOC Controlと記載があります)
このターゲットSOCの制御自体は、通常の制御項目であって、
バッテリの脱着でクリアされる類のものではないと思っているのですが、どうでしょう。
あと、このターゲットSOCの制御については
プリウスの資料ではありませんが、ちょっと面白い資料がありましたので、図表を探し出して、掲載したいと思います。
バッテリの脱着でクリアされる類のものではないと私も思います。
こんばんは、
電子技術マニュアル→修理書→トラブルシューティング→EFIシステム(1NZ-FXE)→前点検のページに以下の「学習」という文字列を含んだ記述がありました。
大気圧学習禁止
空燃比F/B学習禁止
F/B学習値バンク1
アクセル全閉学習値
ノック補正学習値
パージ濃度学習値
ISC学習完了
編集追記:
電子技術マニュアル→修理書→トラブルシューティング→EFIシステム(1NZ-FXE)→ダイアグコード一覧→P0171/25に…
空燃比F/B学習についての記述がありました。
さん、こんばんは & 多謝!
P0171/25 空燃比F/B(フィードバック)学習について、解説記事ありましたね。
ほぼ上の記載と同じ内容が示されていて、ちょっと安心しました(^^
ありがとうございます。
他のエンジン系の学習項目ですが、
どうでしょう…補足があったほうがいいのは最後の3項目でしょうか。
ノック補正学習は、ノッキング検出に対して点火時期を遅角して、ノッキングを防ぐときの遅角量だと思います。
パージはチャコールキャニスターパージで、活性炭に吸着したガソリンタンクからのガソリン蒸気をエンジンに循環させるものを指していますね。
ISCはアイドル回転数のコントロールです。
アイドル回転数が目標回転数になるように、スロットル開度を制御する際の学習値ですね。
バッテリ脱着でアイドリングが長引くのは、最後のISC学習の影響もあるかも知れませんね。
SOCの均衡値は、高速道路の巡航速度で変わりました。
80km/hで60%、100km/hで65%ぐらいだったかな???
でも、これは学習ではなくて、THSが走行効率を考えた走りをした結果かも。
クルコン60km/hでは50〜52%ですし・・・
様、
ターゲットSOCとはエンジン走行の範囲のみでの値です
要するに
エンジン走行時 充電側に振れるか放電側に振れるか の境界線。
戻る
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エンジンにおける学習機能と、ハイブリッドにおける学習機能とをまず分けて考えて見たいと思います。
◆1.エンジンの学習機能
専門書をいろいろ紐解いてみたところ、これに関する記述が見つかりました(2件)。
※プリウス、THSに関しての記述ではなく、一般のガソリンエンジンの例です。
プリウスのエンジン(1NZ-FXE)は、最近、一般に用いられている電子制御燃料噴射方式になっています。
この方式では、狙いの空燃比(A/F比)になるように、O2センサー、A/Fセンサーを用いて、空燃比フィードバック制御を行い、燃料噴射量を調節しています。
例えば・・・
ある燃料噴射量で燃焼した結果、O2センサー等で酸素過剰を検知すれば、空気量を抑制します。
酸素不足を検知すれば空気量を増加するように自動制御されます・・・。
(プリウス新型車解説書にも記述あり)
ドライバが調節したアクセル量に応じて、狙いの駆動力を設定し、それを満たすように、エンジン負担分を計算し、そのエンジン負担分を達成するように、スロットル制御、および、燃料噴射量の制御が行われるのですね。
■単純な空燃比フィードバック制御だけでは発生する問題
で、問題は、それぞれのエンジン毎の部品のばらつきです。
燃料噴射インジェクターや、スロットル系部品のばらつきによって、そのままでは狙いの空燃比にならないことがあります。
これに対しては、上記、空燃比フィードバック制御で補正するのですが、これ、フィードバックなので、スロットル開度が変更され、吸入空気量が変化すると、補正の遅れが発生します。(過渡特性)
これの対策として、学習補正なるものが示されています。
■学習補正の処理内容・・・
まず、ある条件下で、空燃比フィードバックを行わない場合
(オープンループ時)の運転を行い、そのエンジンがもつ空燃比のズレ量を算出します。
この空燃比ズレ量から、補正量を算出します。
そしてこの補正量を、エンジンを切っても保存されるデータとして記憶します。(これがいわゆる学習値)
以降は、エンジンのばらつきからなる空燃比ズレ量が分かっているので、その補正量を含めて、空燃比フィードバックを行います。
空燃比ズレ量の補正量があらかじめわかっているので、スロットル開度の変化に対しても、遅れなく補正することができます。
まぁ、すごく複雑な制御を行っているわけではなく、
フィードバック制御を行わない場合のズレ量を保存されるデータ(学習値)として持つことで、フィードバック遅れを低減、スロットル操作時の過渡特性を改善するだけなんですね。
で、このオープンループでの空燃比ズレ量の算出、および補正量の算出には、結構な時間がかかるそうです。
そのため、エンジン始動の毎回ではなく、あらかじめ”ある条件下”で実施しておいて、補正量を学習値として記憶しておくようです。
さて、ではその”ある条件”とは?・・・
これについては解説がありませんでした。
しかし一般に部品の組替え等が行われた後と一致する、【バッテリ端子の脱着後】がトリガではないかと思われます。
EPVさんのところの下記トピックを参照させていただきましたが、
バッテリ端子脱着後のアイドリングチェックに時間がかかるというのもオープンループで空燃比ズレ量を測っているためと思われ、上記の内容と一致するように思われます。
http://eshy.s22.xrea.com/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?cmd=ntr;tree=7463;id=epv1710#7463
もし空気量、燃料噴射量に関わるパーツ変更、チューニングを行ったら、学習補正を行うことがよいのでしょう。
(ただし効果は過渡特性においてのみ現れる)
で、それ以外であれば、再学習を行っても、特に大きな影響はないのではないかと思われます。
ちなみに、普通の車ではアクセルとスロットルは一定の関係をもっていますが、プリウスの場合、アクセル操作とエンジンスロットルの関係性はなく、THSがコントロールしています。
そのため、アクセル踏みこみ時に、必ずしも学習制御の効果を感じるわけでなく、その影響シーンはTHS制御に影響されます。
今回、参考にした文献:
@山海堂 電子制御ガソリン噴射
A山海堂 新・自動車用ガソリンエンジン
@の著者は、トヨタ系列の燃料噴射装置メーカー DENSOの人でした。
◆2.ハイブリッドシステムの学習機能
これについては、
・電子技術マニュアル(新型車解説書、修理書、ECUデータモニタ項目)
・なおゆきさんご紹介のアメリカのサービスマニュアル
・自動車技術会 論文
等を検索しましたが、該等する記述を見つけられませんでした。
特に、修理書、トラブルシューティング関連のTaSCANを用いた検査項目、作業内容にも記載がなく、
(通常、学習値をモニタできるしくみがあるような気がするのですが・・・)
学習機能があるのかなぁというのが私の率直な思いです。
私自身、上記のエンジン学習機能部分を除いて、学習機能があると確信する動作を経験していません。
★経験、数値等でハイブリッドの学習機能を示すようなデータはありますでしょうか?
あります、あります。
ターゲットSOCの変動 と呼んでいるモノです。
ターゲットSOCとはどこで充電を止めるかの目標ポイント。
61〜66%と変動の範囲は大きいことが確認できています。
登坂路が続くと下がります。
下りでの充電の「シロ」を増やす目的があるのかも?
同じようにエンジンに負荷を与えつづけると下がります。
それにつれて燃調も変えているような気がします・・
ターゲットSOC、
新型車解説書の図にも概念が示され、またなおゆきさんご紹介の
アメリカサービスマニュアルにも、図が示されています
(TargetSOC Controlと記載があります)
このターゲットSOCの制御自体は、通常の制御項目であって、
バッテリの脱着でクリアされる類のものではないと思っているのですが、どうでしょう。
あと、このターゲットSOCの制御については
プリウスの資料ではありませんが、ちょっと面白い資料がありましたので、図表を探し出して、掲載したいと思います。
電子技術マニュアル→修理書→トラブルシューティング→EFIシステム(1NZ-FXE)→前点検のページに以下の「学習」という文字列を含んだ記述がありました。
大気圧学習禁止
空燃比F/B学習禁止
F/B学習値バンク1
アクセル全閉学習値
ノック補正学習値
パージ濃度学習値
ISC学習完了
編集追記:
電子技術マニュアル→修理書→トラブルシューティング→EFIシステム(1NZ-FXE)→ダイアグコード一覧→P0171/25に…
空燃比F/B学習についての記述がありました。
P0171/25 空燃比F/B(フィードバック)学習について、解説記事ありましたね。
ほぼ上の記載と同じ内容が示されていて、ちょっと安心しました(^^
ありがとうございます。
他のエンジン系の学習項目ですが、
どうでしょう…補足があったほうがいいのは最後の3項目でしょうか。
ノック補正学習は、ノッキング検出に対して点火時期を遅角して、ノッキングを防ぐときの遅角量だと思います。
パージはチャコールキャニスターパージで、活性炭に吸着したガソリンタンクからのガソリン蒸気をエンジンに循環させるものを指していますね。
ISCはアイドル回転数のコントロールです。
アイドル回転数が目標回転数になるように、スロットル開度を制御する際の学習値ですね。
バッテリ脱着でアイドリングが長引くのは、最後のISC学習の影響もあるかも知れませんね。
80km/hで60%、100km/hで65%ぐらいだったかな???
でも、これは学習ではなくて、THSが走行効率を考えた走りをした結果かも。
クルコン60km/hでは50〜52%ですし・・・
ターゲットSOCとはエンジン走行の範囲のみでの値です
要するに
エンジン走行時 充電側に振れるか放電側に振れるか の境界線。