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表面処理系 オイル添加剤を考える
もうすでに使われているかたもいらっしゃるのでしょうが、
金属表面処理をうたった、樹脂系オイル添加剤について…
※理論的に『効果がある/ない』という説明体系と
『いや自分のケースでは効果があった、体感した』という経験談とは区別が大切と考えています。
エンジンはいろいろな要素があり、走行距離、使用状況、磨耗具合等でいろいろでしょう。特定の状態のエンジンで効果がある、また別のエンジンでは効果がないということもあるでしょうしね…。
◆広告内容について
いきなり技術の話からはずれますが、
有名な表面処理系 オイル添加剤の広告にはこうなっています。
1979年にはジュネーブの国際発明展で金賞を受賞しました。…(中略)…そして2000年、マイクロロン処理したVW LUPOで宮野滋氏が省燃費のギネス記録をたてました。
へぇ、すごいと思った方、ちょっと待ってください!
ジュネーブ国際発明展 で金賞?
いかにも凄そうですが、この国際発明展、
アマチュアなどの発明家が発明品を持ち寄って、メーカーに売り込む国際的な見本市
です。
(ジュネーブ国際発明展でweb検索で調べてください。
健康器具やエステ用品などが賞を取ったと出てくるはずです)
ですから、この国際発明展で、THSなどのプリウスの発明が賞を取ったりしたわけではありません。まあ展示会ですから…
権威がちゃんとあるといえば、
R&D 100 AWARDS
などですね。
その年のあらゆる分野の研究開発の中からベスト100を選出する…
プリウスもIPAも受賞
しています。
それから、省燃費のギネス記録…。
どういう記録かあまり詳しく記載されていませんね。
それは…
イギリス1周約6000Kmを180時間以内に走ってその燃費を競う
という挑戦なんですね。
こちらは結構凄いですね。
チャレンジの内容はこちらを参照ください
http://www.spheral.com/g+/jp/2001.html
この挑戦記を読むと、どのクルマでいかに走るかが大切で、オイル添加剤の効果は強調されていませんね…。
ちなみにこの添加剤、アメリカのHPでみるとむしろ日本でよく知られているブランドとして紹介しています。
◆技術内容について
現在一般に使用されているエンジンオイルの多くは優れた性質を備え、エンジン内部における摩擦を最大限に低下させています。しかし、摺動部分の金属表面の性質を変えることでさらに多くの効果を実現させることが可能です。
マイクロロンは、金属表面にマイクロロン樹脂の極めて薄い膜を形成し、摩擦と金属の磨耗を軽減させます。そのため処理の行われたエンジンのエンジンオイル中には摩擦金属粒子の減少が確認され、カーボンの付着やスラッジの形成を抑えます。
困りました…マイクロロン樹脂ってなんでしょう?
金属表面に樹脂の膜を形成?オイルに入れただけで?
別トピックで触れましたが、エンジンのピストンで樹脂コーティングされている部分は確かにあります。
しかし、摩擦を低減する成分をアラミド樹脂という非常に硬い樹脂で固められています。
そうしないと金属表面で膜を保てないのですね。
(ピストンスカート表面は条痕処理されてもいます)
・オイルによる潤滑
潤滑の基本は
流体摩擦
です。ちゃんと油膜が金属間にあり、金属同士が接しない状態が最良の状態です。
一方、金属同士が直接接する乾燥摩擦は磨耗が激しく進んでしまいます。で、高い圧力が加わる箇所(カム部)等においては、流体摩擦と接触摩擦の間の
境界摩擦
の状態にあります。
境界摩擦の場合、双方の金属表面に付着した分のオイル分子のみが存在し、流体分のオイルが存在しない状態になります。
このような潤滑状態に対し、各回転部ではオイルなじみ性や耐磨耗性、耐焼き付き性を考慮してそれぞれ適切な表面処理が施されています。
・オイルの摩擦低減添加剤
境界摩擦の摩擦係数を低減するものとして、モリブデン系化合物などの、摩擦係数低減材が有名です。
これらは金属表面にたしかに膜を形成し、始動時などオイル循環が始まるまでの間において境界摩擦となる分の摩擦損失を低減します。
これは、これらの化合物(ex. ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン)は金属と化学反応をして皮膜を形成します。
しかし、それでも強固な皮膜というわけではありません。
オイル油膜が形成される流体摩擦が基本なので、表面コーティングがあっても、実際には大きく影響はしないはずなのです。
高い面圧のかかるような
ちなみにモリブデン系の摩擦係数低減材は割とポピュラーで、
トヨタ純正の0W-20オイルにも配合されています。
・私の疑問
樹脂の膜というのが気になっています。これ、低μの樹脂であればテフロン(デュポン社の商標、一般ではフッ素樹脂)が有名ですが、別にオイルに入れただけで皮膜を形成するようなものではありません。
ですから、どうやって膜を形成するのかが、とても疑問です。
ちなみにフライパン等のテフロンコーティングの施工は
脱脂(!) → 吹き付け → 乾燥 → 焼成 です。いわゆる塗装コーティングなのですね。
オイルに入れただけで、種類の違う表面材質にどのように均一に樹脂膜を形成するのか…
境界摩擦みたいな高い面圧のかかる箇所に、それに耐えうる膜をどうやって形成するのか…大いに疑問があります。
技術的にいろいろ納得がいかない点があるので、私は同製品を用いません。
でも、オイルになんらかの成分のものを加えるので、なにかの影響はあるのでしょう。
効果を体感したという記事もあるので、なんらかの影響も場合によってはあるのかもしれませんね。
▼ この記事へのコメント ▼
テフロン系の添加剤は既にアメリカでは売ることさえ出来ないような状態になっていると聞きました。
デュポン社も自社のテフロン(商品によってはPTFEなんて言い方もされています)は自動車用エンジンの添加剤に入れても効果は無いと言い切ったそうです。
>固体を用いた潤滑剤は極圧状態の部分には効果があるが・・・
↑
違っていました。極圧の潤滑には塩素系や硫黄系などの極圧潤滑剤や二硫化モリブデンなどが使われていて,テフロンは使われないそうです<m(__)m>
そもそも油膜を保持するためにある程度仕上げ面を磨きすぎずにいるシリンダ壁面を固体でコーティングして鏡面状態にすることは油膜保持という考えからすれば良くないのだと思います。
・・・こんな私ですが前々車のハイラックスサーフに添加したSX8000は走行距離が伸びたときに効果があったと実感できました。同じ年式でほぼ同じ走行距離の車とエンジン音を比較したときに明らかにこちらが静かでしたので。
でも現在はテフロンやセラミック,あるいはチタンなど,シリンダ壁面に影響を及ぼす添加剤はかなり走行距離が増えてから入れようかと考えています。
固体潤滑剤として、カーボン、モリブデン、ポリイミド、そしてテフロンなどの化合物がありますが、面圧の高い部分でテフロンを使うなんて考えられません。
それにテフロンは比重が重く、分散剤を用いたとしても沈殿、あるいは凝集を起こしやすいはずです。(0W-20のような低粘度中ではなおさら)
そうなると、スラッジ化してオイルの寿命を縮めてしまうと思います。
潤滑オイルは、オイルメーカーによって使用条件に合わせて最適な量の添加剤を加えて設計されています。
極圧添加剤、固体潤滑剤、油性剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、清浄分散剤、消泡剤、流動点降下剤、防錆剤etc...
下手に余計な添加剤を加えると、添加剤の表面吸着を妨げたり、正常な分散状態を崩したりして、ベースオイルの特性を阻害してしまう可能性があると思います。
そもそもプリの場合、エンジンにかかる負荷は少ないですから・・・(メーカーが交換次期を10000kmと言ってる程ですからね。。)
あまり気にしなくても良いのかもしれませんね。
私の場合は、粘度指数が高い(低温でも高温でも粘度差が少ない)オイルであって、低粘度であればいいかなって思ってます。(燃費追求型。笑)
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金属表面処理をうたった、樹脂系オイル添加剤について…
※理論的に『効果がある/ない』という説明体系と
『いや自分のケースでは効果があった、体感した』という経験談とは区別が大切と考えています。
エンジンはいろいろな要素があり、走行距離、使用状況、磨耗具合等でいろいろでしょう。特定の状態のエンジンで効果がある、また別のエンジンでは効果がないということもあるでしょうしね…。
◆広告内容について
いきなり技術の話からはずれますが、
有名な表面処理系 オイル添加剤の広告にはこうなっています。
へぇ、すごいと思った方、ちょっと待ってください!
ジュネーブ国際発明展 で金賞?
いかにも凄そうですが、この国際発明展、
アマチュアなどの発明家が発明品を持ち寄って、メーカーに売り込む国際的な見本市です。
(ジュネーブ国際発明展でweb検索で調べてください。
健康器具やエステ用品などが賞を取ったと出てくるはずです)
ですから、この国際発明展で、THSなどのプリウスの発明が賞を取ったりしたわけではありません。まあ展示会ですから…
権威がちゃんとあるといえば、R&D 100 AWARDS などですね。
その年のあらゆる分野の研究開発の中からベスト100を選出する…プリウスもIPAも受賞しています。
それから、省燃費のギネス記録…。
どういう記録かあまり詳しく記載されていませんね。
それは…
イギリス1周約6000Kmを180時間以内に走ってその燃費を競うという挑戦なんですね。
こちらは結構凄いですね。
チャレンジの内容はこちらを参照ください
http://www.spheral.com/g+/jp/2001.html
この挑戦記を読むと、どのクルマでいかに走るかが大切で、オイル添加剤の効果は強調されていませんね…。
ちなみにこの添加剤、アメリカのHPでみるとむしろ日本でよく知られているブランドとして紹介しています。
◆技術内容について
マイクロロンは、金属表面にマイクロロン樹脂の極めて薄い膜を形成し、摩擦と金属の磨耗を軽減させます。そのため処理の行われたエンジンのエンジンオイル中には摩擦金属粒子の減少が確認され、カーボンの付着やスラッジの形成を抑えます。
困りました…マイクロロン樹脂ってなんでしょう?
金属表面に樹脂の膜を形成?オイルに入れただけで?
別トピックで触れましたが、エンジンのピストンで樹脂コーティングされている部分は確かにあります。
しかし、摩擦を低減する成分をアラミド樹脂という非常に硬い樹脂で固められています。
そうしないと金属表面で膜を保てないのですね。
(ピストンスカート表面は条痕処理されてもいます)
・オイルによる潤滑
潤滑の基本は流体摩擦です。ちゃんと油膜が金属間にあり、金属同士が接しない状態が最良の状態です。
一方、金属同士が直接接する乾燥摩擦は磨耗が激しく進んでしまいます。で、高い圧力が加わる箇所(カム部)等においては、流体摩擦と接触摩擦の間の境界摩擦の状態にあります。
境界摩擦の場合、双方の金属表面に付着した分のオイル分子のみが存在し、流体分のオイルが存在しない状態になります。
このような潤滑状態に対し、各回転部ではオイルなじみ性や耐磨耗性、耐焼き付き性を考慮してそれぞれ適切な表面処理が施されています。
・オイルの摩擦低減添加剤
境界摩擦の摩擦係数を低減するものとして、モリブデン系化合物などの、摩擦係数低減材が有名です。
これらは金属表面にたしかに膜を形成し、始動時などオイル循環が始まるまでの間において境界摩擦となる分の摩擦損失を低減します。
これは、これらの化合物(ex. ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン)は金属と化学反応をして皮膜を形成します。
しかし、それでも強固な皮膜というわけではありません。
オイル油膜が形成される流体摩擦が基本なので、表面コーティングがあっても、実際には大きく影響はしないはずなのです。
高い面圧のかかるような
ちなみにモリブデン系の摩擦係数低減材は割とポピュラーで、
トヨタ純正の0W-20オイルにも配合されています。
・私の疑問
樹脂の膜というのが気になっています。これ、低μの樹脂であればテフロン(デュポン社の商標、一般ではフッ素樹脂)が有名ですが、別にオイルに入れただけで皮膜を形成するようなものではありません。
ですから、どうやって膜を形成するのかが、とても疑問です。
ちなみにフライパン等のテフロンコーティングの施工は
脱脂(!) → 吹き付け → 乾燥 → 焼成 です。いわゆる塗装コーティングなのですね。
オイルに入れただけで、種類の違う表面材質にどのように均一に樹脂膜を形成するのか…
境界摩擦みたいな高い面圧のかかる箇所に、それに耐えうる膜をどうやって形成するのか…大いに疑問があります。
技術的にいろいろ納得がいかない点があるので、私は同製品を用いません。
でも、オイルになんらかの成分のものを加えるので、なにかの影響はあるのでしょう。
効果を体感したという記事もあるので、なんらかの影響も場合によってはあるのかもしれませんね。
デュポン社も自社のテフロン(商品によってはPTFEなんて言い方もされています)は自動車用エンジンの添加剤に入れても効果は無いと言い切ったそうです。
>固体を用いた潤滑剤は極圧状態の部分には効果があるが・・・
↑
違っていました。極圧の潤滑には塩素系や硫黄系などの極圧潤滑剤や二硫化モリブデンなどが使われていて,テフロンは使われないそうです<m(__)m>
そもそも油膜を保持するためにある程度仕上げ面を磨きすぎずにいるシリンダ壁面を固体でコーティングして鏡面状態にすることは油膜保持という考えからすれば良くないのだと思います。
・・・こんな私ですが前々車のハイラックスサーフに添加したSX8000は走行距離が伸びたときに効果があったと実感できました。同じ年式でほぼ同じ走行距離の車とエンジン音を比較したときに明らかにこちらが静かでしたので。
でも現在はテフロンやセラミック,あるいはチタンなど,シリンダ壁面に影響を及ぼす添加剤はかなり走行距離が増えてから入れようかと考えています。
それにテフロンは比重が重く、分散剤を用いたとしても沈殿、あるいは凝集を起こしやすいはずです。(0W-20のような低粘度中ではなおさら)
そうなると、スラッジ化してオイルの寿命を縮めてしまうと思います。
潤滑オイルは、オイルメーカーによって使用条件に合わせて最適な量の添加剤を加えて設計されています。
極圧添加剤、固体潤滑剤、油性剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、清浄分散剤、消泡剤、流動点降下剤、防錆剤etc...
下手に余計な添加剤を加えると、添加剤の表面吸着を妨げたり、正常な分散状態を崩したりして、ベースオイルの特性を阻害してしまう可能性があると思います。
そもそもプリの場合、エンジンにかかる負荷は少ないですから・・・(メーカーが交換次期を10000kmと言ってる程ですからね。。)
あまり気にしなくても良いのかもしれませんね。
私の場合は、粘度指数が高い(低温でも高温でも粘度差が少ない)オイルであって、低粘度であればいいかなって思ってます。(燃費追求型。笑)