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プリウス技術検討室
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プリウスのエンジン起動・停止時 振動低減技術
プリウス(THS)のエンジン起動・停止に伴う振動の低減技術についてです。
停止・走行中に頻繁にエンジンを起動・停止を繰り返しますが、そのハイブリッド特有の振動の抑制(制振)は重要なファクターです。
この分野の論文は結構トヨタから出ているようです。
(ただ、エンジン起動時に関するものが多いですが)
自動車技術会 会誌の
2003年 Vol57 No.7
「ハイブリッド車における振動騒音低減の取り組み」
2006年 Vol60 No.4
「次世代ハイブリッド車における振動騒音問題とその低減の取り組み」
というものを持っていますので、そのあたりからご紹介したいと思います。
まず、プリウスの振動レベルですが。
プリウスのエンジン起動・停止時振動は、それぞれ普通のガソリン車の停車中振動よりも低くなっていることがわかります。
また停車中よりも走行中が、停止時よりは起動時が振動レベルが大きいことがわかります。
◆エンジン起動時振動
エンジン起動時の振動の要因(強制力)としては
(1)クランキング(モータリング)時の発電機の駆動反力
(2)クランキング時のシリンダ筒内の圧縮圧
(3)点火開始時の燃焼圧力の急上昇
があります。
(2)クランキング時のシリンダ筒内の圧縮圧
については、対策として
(2)-A:VVT-iにより吸気バルブの閉じタイミングを遅らせ、
(圧縮する空気量を減らし)圧縮圧力を低減する
(2)-B:クランク角の停止位置を上死点付近に調節し、
振動レベルを低減
の2つの対策を施しているようです。
(2)-B:クランク角の停止位置の効果としては。
クランク角の停止位置が、上死点の-35°付近から0°(上死点)にかけてフロア振動レベルが低くなっていることがわかります。
ここの範囲を狙ってエンジン停止時に発電機によってクランク角の調節が行われます。
これと、VVT-iによる効果は。
主に、
クランク(ピストン)停止位置が上死点の少し前になることにより、圧縮圧力が低減できる
ことがわかります。
(THSでは(2)-Aのみだったのが、THSUから(2)-Bが対策追加されています)
(3)の燃焼圧の急上昇については、点火時期の遅角化などで対処しているようです。
以上の結果、エンジン始動時の動作としては。
およそ
0.5秒でクランキング
して、そこから点火開始、1秒で安定回転まで移行しているのがわかります。
◆エンジン停止時振動
起動時に比べて、停止時についての記述はあまり多くありません。
ただし
また、エンジン停止時振動もVVT-i、MG1(発電機)による制振制御によって低減した
と記述があります。
やはり停止時もシリンダの圧縮圧力を低減することが重要で、そこでVVT-iで調節しているようです。
注目すべきは発電機による制振制御というあたりですね。
ここからは予測ですが、エンジン停止時のトルク変動が振動源になりますから、そのトルク変動を抑制するようなトルクを、逆に発電機側から補正してやれば、パワープラント系としての振動を抑制することができます。
実は最新の自動車技術会の会誌に、FR向けハイブリッドの振動対策の論文が載っていますが、これにはその技術について触れている部分があります。
ただその制御は、エンジンのトルクを推定し、発電機によって補償するというものなので、何らかの外乱要因で抑制制御が外れるケースがあるのかもしれません。
これが、”停止時にたまに振動が大きいことがある”
という事象に対する、発生要因の1つの仮説です。
▼ この記事へのコメント ▼
毎度有益な情報ありがとうございます。
中でも
>およそ0.5秒でクランキングして、そこから点火開始、1秒で安定回転まで移行しているのがわかります。
安定するまで“1秒も”かかってるんですね。
やはりこれでは山道では使い物にならない。
山を攻める時は“半ハイブリッド状態”じゃないと。
半ハイブリッド状態で、EVボタンのON/OFFで、
エンジンの起動・停止が任意にできますが、
そのときの私の感覚であれば、1秒でも特に反応が悪いとは感じていませんでした。
実際、走行中のドライバーのアクセルの踏み込みに対して、
エンジン起動→エンジン駆動力発生
の前に、モーターによる駆動力が先にすぐに立ち上がりますから
特に加速で痛痒感を感じるほどではないと思っていたのですね。
でも山道を攻めるという走行ではエンジン起動のレスポンス不十分ということもあるのでしょうか?
(半ハイブリッド状態だと違いはありますか?)
なかなか今までにない走行モードの話で、興味があります(^^;
これは、 ・・・ 流石に頭が痛い。 (^^;
正直、読解するだけでも相当の根性が要りそう。
ギブアップします。 (^^ゞ
どこに書いてあったか忘れましたが、プリウスの開発で超難問だったのが、この制振技術だったとか。。。
エンジンと発電機の間にあるダンパー、どうなっているんでしょうね? 興味が尽きませんが、私には難し過ぎます。
>
さん
>山を攻める時は“半ハイブリッド状態”じゃないと。
山を攻めるのならばエンジンを積極的に回せるBレンジと考えていましたが、上様の唱える半ハイブリッド状態のメリットとはどんなものでしょう??私も興味があります。
第4ステージの完全ハイブリッドで、60km/h以下に速度が落ちると致命的。
その対策としてBレンジが思い浮かぶのは、当然の流れです。
が、アクセルオン・オフ時の挙動がイマイチ不自然なのです。
ところが、半ハイブリッド状態だと常にエンジン回ってるだけでなく
ガソリンも吹きっぱなしです。
そうすると、ガソリン吹く吹かない・エンジン回転アリナシに
左右される影響が、ほとんど無くなるのです。
コーナー立ち上がり時、アクセルオンで即エンジンのトルクが
タイヤに伝えられる事に繋がります。
▼
さん
> エンジンと発電機の間にあるダンパー、どうなっているんでしょうね?
------------
トランスアクスルダンパー(トーショナルダンパー)ですね。
これも、THSとして、普通と違うものを用いている内容の論文があります。
普通の手動変速機用のものより、バネのやわらかいものを用いているようです。
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停止・走行中に頻繁にエンジンを起動・停止を繰り返しますが、そのハイブリッド特有の振動の抑制(制振)は重要なファクターです。
この分野の論文は結構トヨタから出ているようです。
(ただ、エンジン起動時に関するものが多いですが)
自動車技術会 会誌の
2003年 Vol57 No.7
「ハイブリッド車における振動騒音低減の取り組み」
2006年 Vol60 No.4
「次世代ハイブリッド車における振動騒音問題とその低減の取り組み」
というものを持っていますので、そのあたりからご紹介したいと思います。
まず、プリウスの振動レベルですが。
プリウスのエンジン起動・停止時振動は、それぞれ普通のガソリン車の停車中振動よりも低くなっていることがわかります。
また停車中よりも走行中が、停止時よりは起動時が振動レベルが大きいことがわかります。
◆エンジン起動時振動
エンジン起動時の振動の要因(強制力)としては
(1)クランキング(モータリング)時の発電機の駆動反力
(2)クランキング時のシリンダ筒内の圧縮圧
(3)点火開始時の燃焼圧力の急上昇
があります。
(2)クランキング時のシリンダ筒内の圧縮圧
については、対策として
(2)-A:VVT-iにより吸気バルブの閉じタイミングを遅らせ、
(圧縮する空気量を減らし)圧縮圧力を低減する
(2)-B:クランク角の停止位置を上死点付近に調節し、
振動レベルを低減
の2つの対策を施しているようです。
(2)-B:クランク角の停止位置の効果としては。
クランク角の停止位置が、上死点の-35°付近から0°(上死点)にかけてフロア振動レベルが低くなっていることがわかります。
ここの範囲を狙ってエンジン停止時に発電機によってクランク角の調節が行われます。
これと、VVT-iによる効果は。
主に、クランク(ピストン)停止位置が上死点の少し前になることにより、圧縮圧力が低減できることがわかります。
(THSでは(2)-Aのみだったのが、THSUから(2)-Bが対策追加されています)
(3)の燃焼圧の急上昇については、点火時期の遅角化などで対処しているようです。
以上の結果、エンジン始動時の動作としては。
およそ0.5秒でクランキングして、そこから点火開始、1秒で安定回転まで移行しているのがわかります。
◆エンジン停止時振動
起動時に比べて、停止時についての記述はあまり多くありません。
ただし
やはり停止時もシリンダの圧縮圧力を低減することが重要で、そこでVVT-iで調節しているようです。
注目すべきは発電機による制振制御というあたりですね。
ここからは予測ですが、エンジン停止時のトルク変動が振動源になりますから、そのトルク変動を抑制するようなトルクを、逆に発電機側から補正してやれば、パワープラント系としての振動を抑制することができます。
実は最新の自動車技術会の会誌に、FR向けハイブリッドの振動対策の論文が載っていますが、これにはその技術について触れている部分があります。
ただその制御は、エンジンのトルクを推定し、発電機によって補償するというものなので、何らかの外乱要因で抑制制御が外れるケースがあるのかもしれません。
これが、”停止時にたまに振動が大きいことがある”
という事象に対する、発生要因の1つの仮説です。
中でも
>およそ0.5秒でクランキングして、そこから点火開始、1秒で安定回転まで移行しているのがわかります。
安定するまで“1秒も”かかってるんですね。
やはりこれでは山道では使い物にならない。
山を攻める時は“半ハイブリッド状態”じゃないと。
エンジンの起動・停止が任意にできますが、
そのときの私の感覚であれば、1秒でも特に反応が悪いとは感じていませんでした。
実際、走行中のドライバーのアクセルの踏み込みに対して、
エンジン起動→エンジン駆動力発生
の前に、モーターによる駆動力が先にすぐに立ち上がりますから
特に加速で痛痒感を感じるほどではないと思っていたのですね。
でも山道を攻めるという走行ではエンジン起動のレスポンス不十分ということもあるのでしょうか?
(半ハイブリッド状態だと違いはありますか?)
なかなか今までにない走行モードの話で、興味があります(^^;
正直、読解するだけでも相当の根性が要りそう。
ギブアップします。 (^^ゞ
どこに書いてあったか忘れましたが、プリウスの開発で超難問だったのが、この制振技術だったとか。。。
エンジンと発電機の間にあるダンパー、どうなっているんでしょうね? 興味が尽きませんが、私には難し過ぎます。
>山を攻める時は“半ハイブリッド状態”じゃないと。
山を攻めるのならばエンジンを積極的に回せるBレンジと考えていましたが、上様の唱える半ハイブリッド状態のメリットとはどんなものでしょう??私も興味があります。
第4ステージの完全ハイブリッドで、60km/h以下に速度が落ちると致命的。
その対策としてBレンジが思い浮かぶのは、当然の流れです。
が、アクセルオン・オフ時の挙動がイマイチ不自然なのです。
ところが、半ハイブリッド状態だと常にエンジン回ってるだけでなく
ガソリンも吹きっぱなしです。
そうすると、ガソリン吹く吹かない・エンジン回転アリナシに
左右される影響が、ほとんど無くなるのです。
コーナー立ち上がり時、アクセルオンで即エンジンのトルクが
タイヤに伝えられる事に繋がります。
> エンジンと発電機の間にあるダンパー、どうなっているんでしょうね?
------------
トランスアクスルダンパー(トーショナルダンパー)ですね。
これも、THSとして、普通と違うものを用いている内容の論文があります。
普通の手動変速機用のものより、バネのやわらかいものを用いているようです。